【SS】東の海の夜の森。第3戦。

 再度辺りを見回す。が、はっきりと見える敵は皆無だった。――さすがに暗いな。
 右手後方は自軍に当ててしまう恐れがある。無駄に発砲出来ない。左手後方なら問題無いとは思うが敵を捕捉できない。

 ほんの少し匍匐で前進し、再度左手後方を確認する。
 木々の僅かな隙間に差し込む月明かりに違和感を覚えた。恐らく、恐らくだがそこに何かが居る。
 違和感の先をジッと見据えると影がチラと動いた。いや、動いた気がした。
 コッキングレバーを引きスコープを覗く。
 先程の影に狙いを付ける。だが、確証が持てないので撃つことが出来ない。

 暫く待つと、左手遥か後方から発砲音が響く。間違いなく味方の発砲音だ。しかしそれでも発砲出来ない。
 もし、私と同じ様に先行潜伏し、敵に狙いを付けてるのだとした? それを台無しには出来ない。

 根気よく待っていると、その影が発したであろう発砲音が。音の反響の仕方から左手後方の味方に対して射撃しているのであろう。

 ――確証が持てた。

 引き金を引く。発射弾は見えない、だが恐らく真っ直ぐ敵に刺さっている筈だ。コールは聞こえない。
 ……もしかして当てられなかった?
 もう一度コッキングし狙いを付ける。するとその影が赤いLEDを点滅させ、その後ヒットコールを発する。
 ――成る程、デッドマーカーか。……正直焦った。

「タカートより全体、中央塹壕よりやや左舷前方に突出、射撃には気をつけてね。加えて2名のダウンを確認。」
 無線による報告をし、前に向き直る。
 ――突出してしまったのならトコトンだな。
 そのまま匍匐で前進をする。





2013年10月15日 Posted by タ・カート  at 16:22 │Comments(0)

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