【SS】東の海の夜の森。第2戦。

 目の前の茂みが動きを止める。
 恐らくそこでアンブッシュするのであろう。

 暫し様子を見る。恐らくもう数秒で猫々小隊一行と敵が接触する筈だ。
 動くのはそれからでも遅くは無いだろう。

 静まり返る森。風は少なく木々のさざめきは無い。
 なんとも心地の悪い静寂だ。

 ――ッタン!!タタンッ!!

 突如として響く発砲音。音の響きから察するに猫々の連中であろう事が解る。また、それと同時期に左手前方、及び後方からも発砲音。交戦状態だ。
 そして発砲音に釣られたか、目の前の茂みが動き。銃口が伸びる。発射された弾は恐らく私の頭上を飛び越え、猫々小隊へと伸びるであろう。
 敵の持つ銃の種類を凝視し確認する。ショットガンだった。
 夜戦に置いてのショットガンは脅威となりえる。今回のような半ば開けたフィールドでは特にだ。

 私はゆっくりと自身の銃の銃口を確認する。サイレンサーに緩みは無い。
 それだけ確認すると後ろへとゆっくり、ゆっくり振り返る。

 後方より発射音。先程のショットガンだ。案の定、発射された弾は私の頭上を通り過ぎ、猫々小隊へと伸びていった。
 私はその発射音に乗せるように左前方、猫々小隊と正面から対峙している敵を狙撃する。距離にして約10M、外す筈も無かった。

 ヒットの声と共に向き直る。ショットガンの射手は気付いていない様だ。
 ゆっくり、音を立てないようにコッキングし、トリガーに指を掛ける。
 一呼吸。そして息を止める。スコープは覗かない、サイティングせずとも当てられる距離だ。だが、自分の構えを再確認していく。

 トリガーに掛けた指の位置は正常か?
 銃は平行に構えられて居るか?
 構え方にブレは無いか?
 マズルから敵へはちゃんと直線となっているか?

 ――問題無い、筈だ。後は……。
 再度発射されるショットガン。私の頭上に3発の弾が風切り音をあげる。その音と共にトリガーを引く。
 発射された弾は目の前の敵に真っ直ぐ吸い込まれていく。一呼吸置いて谺するヒットコール。

 よし、次だ――。





2013年09月19日 Posted by タ・カート  at 20:06 │Comments(0)

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